とうつきの本棚

本に纏わることの記録。

福岡県「BUNSHODO HOTEL」【本とホテル】

福岡県福岡市の博多駅近くにある「BUNSHODO HOTEL」に宿泊しました。

本を寄贈した何処かの誰かに思いを馳せながら、小さな倉庫の片隅でひっそりと本を読んでいる気持ちになる、静かでミニマルなブックホテルです。

 

 

「BUNSHODO HOTEL」の概要

ホテルの特徴をざっとまとめます。

  • ☆部屋はミニマムでモダン。読書に専念できる静かな環境。
  • ☆寄贈本に挟まれたドネーションカードによって、気になる本を探しやすい。見知らぬ誰かに思いを馳せながら読むこともできる。
  • ☆寄贈本なので読み継がれる名作や一昔前に話題になった本など「名前は知っているけど読む機会がなかった本」に出会える可能性が高い
  • ★部屋にバストイレがなく、1階の共用シャワーと各階の共用トイレを使うのが面倒
  • 博多駅から徒歩10分弱の立地と、バストイレ別を勘案すると、価格はやや高め?

 

「BUNSHODO HOTEL」のレビュー

居室

今回泊ったのは一番小さなDOUBLE ROOMです。

部屋はまさに「ミニマル」の表現が相応しいです。完全なワンルーム。入ってすぐ右手に洗面台があり、その先に机スペースが続きます。その奥には、部屋の幅ちょうどのダブルベッドが鎮座します。

メインの照明は読書灯で、全体的にやや薄暗いです。廊下も同様に照明は控えめ。狭く簡素な部屋も相まって、まるで本屋の倉庫に忍び込んで、その隅っこでこっそり本を読んでいるみたいでした。このひっそり感は結構好きですね。

無機質一辺倒ではなく、机やドアがボルドー色だったり、部屋のスリッパにホテルロゴが入っていたりと、デザインにこだわりを感じます。モダンな印象ですね。↑上のベッドに座ってドア側(廊下側)を眺めたのがこちら↓

本当にワンルーム!飾り気のない壁と四角い部屋が、まさに「本を読むための部屋」と言った雰囲気です。広さは公式サイトで8㎡。

ドアが廊下に続く一つしかないことからお分かりいただけるかもしれませんが、この部屋、バストイレがついていません。1階に共用シャワールームがあり、各階に共用トイレがあります。どちらも綺麗で清潔、シャワーに至っては一番乗りの貸し切りだったこともあって快適に使わせて頂きましたが、やっぱり部屋に欲しいかなぁ。せめてトイレは。

あと、電気ケトルやマグカップが常備されていない部屋も初めてで、ちょっと寂しかったです。11月だったので、部屋で温かい飲み物が飲みたかったですね。

 

BUNSHODO HOTELは「“本でつながる”アーカイブホテル&カフェ」がコンセプトのホテルです。その所有する本のほとんどは寄贈によるもので、”本でつながる”を意識した試みがいろいろとあります。

本の楽しみ方はざっくり3つ「本を読む」「本を選んでもらう」「本を寄贈する」です。

本を読む

本はあちこちに置かれています。ホテルのフロント、1階エレベーター前、各階のエレベーター前、廊下……。それぞれの本は部屋に持ち帰って読むことができます。

もちろん、部屋にも置かれています。私が泊まった部屋では、窓際に並んでいました。

小説、エッセイ、ライフスタイル……種類は様々です。文庫本の上にぴょこぴょこ飛び出している紙が見えるかと思いますが、これが本を寄贈した人のドネーションカードです。こんなきっかけで読んだ、こんなところが好き……といった、誰かの想いを頭の隅に置きながら読めるのも面白いです。

私は「終末の様子がどこかコロナに似ている」との文言に惹かれて『終末のフール』を読みました。自分にはない発想だったので、この言葉と共にこの小説を読めて良かったと思います。

tou-book.hatenablog.com

『あんことわたし』も通読しました。「川田アナが好きだったのでサインを貰った本」って…それは寄贈しちゃっていいのでしょうか…?

tou-book.hatenablog.com

本を選んでもらう

予約時に「泊まる本を選ぶ」と、テーマに沿ってキュレーターが選んだ数冊の本を渡して貰えるそうです。私は公式サイト以外から予約したから、選択肢になかったんですよね~!ちょっと悔しい。おそらく+700円かかります。これも面白そうな仕組みです。

本を寄贈する

自分の一冊を寄贈することもできます。荷物になるからと持って行きませんでしたが、実際にドネーションカードと共に並ぶ本を見たら、持ってくれば良かった~と思いました。

ホテルに泊まる人はドリンクチケットが貰えるみたいで、やっぱり持ってくればよかったな~!!

 

カフェ

ホテルの1階はブックカフェとなっています。

いろいろと時間が合わずに、結局利用しないままチェックアウトしてしまったんですよね。ここも後悔。おしゃれなメニューが並んでいました。

 

宿泊料金

11月の平日チェックインで1名1室ダブル、食事なし素泊まりで9132円でした。

2023年2月~3月の空室状況を見ると、平日は9千円台後半~12千円台です。福岡市は別途宿泊税が200円掛かります。モダンでミニマルな部屋は美しいですが、シャワートイレが部屋外、博多駅から徒歩10分弱、電気ケトルなどの備品なしを考えると、やや高いなあという印象です。

博多駅周辺には便利なビジネスホテルが多数あるので、それらの朝食付き&利便性の高いプランと、BUNSHODO HOTELの食事なし&不便なプランが同等か後者の方が高いくらいの状況は……うーん。

ちなみに、私は全国旅行支援キャンペーンで宿泊料が40%OFFでした。支払額は5560円。それなら安い方かな、と思えます。

引き続き全国旅行支援期間中でやや高めの設定なんでしょうか…?利便性に目を瞑ってでも、本と過ごしたい人向けのホテルです。

 

まとめ

かつて「文照堂」という書店が営業していた跡地にホテルを建てたという、コンセプトからして楽しいホテル。

しかし、純粋なホテルとしてはやや設備が劣ります。ミニマルと言えば聞こえはいいですが、バストイレ別でこのお値段はどうでしょう(ずっと言ってる)。ただ、二人以上で泊まるとぐっとお得になるようなので、仲の良い友人と泊まるにはいいのかも。

ブックホテルとしては、寄贈された本が多数揃う環境は楽しいです。個人が寄贈した本がほとんどなため、名の知れたタイトルが多めです。ドネーションカードで誰かの想いに寄り添いつつ本を読めるのが魅力的ですね。名も知らぬ誰かに思いを馳せられます。倉庫のすみっこでひっそりと本を読んでいる雰囲気で、内装やコンセプトが一貫していて良いです。

個人的には、福岡県は飛行機の距離のため行くなら観光にも注力したい。とすると、なかなかがっつり本を読むのは難しかったりします(今回は意地で読み込みましたが)。近場ならリピートしても良いですが……福岡だとなかなか厳しいなぁ、と言うのが正直な感想です。何泊かするなら、そのうちの1泊に取り入れるのはアリかもしれません。

<変更履歴>
2023年3月2日:文体を変更・修正。