谷根千エリアにあるちいさなお店たちが、その店主の思いと共に分かる本。
東京都上野にほど近いエリア、谷中・根津・千駄木をあわせて「谷根千(やねせん)」と呼ぶ。住宅街やお寺、墓地などに囲まれたこの街には、小さなお店が軒を連ねているらしい。
カフェや道具屋、革小物、ステンドグラス、パン屋、ギャラリー、紙小物、書店……。様々なテイストのお店が多くの写真を用いて紹介されている。ほっこりテイストのイラストだが、駅からの地図も大きく掲載されていて、街歩きのお供に使いやすい形式だと感じた。
ただお店の特徴や商品を紹介するだけでなく、店主に対して「お店を始めたきっかけ」「谷根千への思い」などをインタビューした内容も掲載されており、読み物としても面白い。皆さん、色々な人生を歩んできているのだと感慨深い。過去から現在、未来に至るまで谷根千で過ごすのだろう人もいれば、現在谷根千で過ごすのは一つのステップに過ぎないような人もいる。「好きなこと」を仕事にしている人たちの言葉は興味深かった。
気になったお店は以下。
- 谷中 松野屋 … 暮らしの道具屋
- 古書信天翁(こしょあほうどり) … 古本屋
- HAGISO(はぎそう) … ギャラリー、カフェ
- ワト舎 … 雑貨
- books&cafe bousingot … ブックカフェ
- 古道具Negla … 古道具
- 弥生坂 緑の本棚 … 古本カフェ、植物
本当はもっとあるのだが、書き切れないので中断。
この本を手に取ったのは、谷根千のことを知りたかったから。
1年前、根津へ散歩に行った。根津と言えばつつじで有名な「根津神社」、その日の目的地だった「亀の子束子」しか知らなかったが、歩いてみると小さく個性的なお店が並んでいることに気付いた。個人店というのはなんとなく入りづらい。当時はスルーしてしまったが、最近小さな個人店、に惹かれてきた。相手を知れば入りやすくなるかも、との気持ちで読んでみた。
具体的にどんなお店があるかを知れたのは良かった。気になるお店も、上記リストのように多々。ただ、店主の話からお店同士・地域間での”つながり”や”人情”が感じられて、近しい人で成り立ったコミュニティに一見さんが乗り込むことにやや抵抗を覚えたのも確か。お店を営んでいらっしゃるのだから、外部から人が来ること自体は皆さん悪くは思っていないと思うものの…。
次に谷根千エリアに行くときは、この本の内容を思い出しながら歩きたい。
ちなみに、著者の名前が面白くて好き。