とうつきの本棚

本に纏わることの記録。

『私の生活改善運動 THIS IS MY LIFE』安達茉莉子

自分にとって心地よい生活を続けるために、身の回りのすべてを見直し、より良い生活を目指すエッセイ。

 

帯の言葉が刺さった。

「これでいいや」で選ばないこと。「実は好きじゃない」を放置しないこと。

本文p.10に登場する言葉である。

自分にとっての心地よさ、快・不快を判別し、より幸福なほうに向けて生活の諸側面を改善していく自主的で内発的な運動だ。

タオルやシーツ、ゴミ箱、セーター、靴、家具など具体的なモノから、住居や仕事、人間関係など様々なレベルで、自分にとっての幸せが何なのかを探り、幸せに生活していくための具体的な行動をとっていく。「これでいいや」で選ばないこと。「実は好きじゃない」を放置しないこと。

p.10

 

一つ一つのテクニックを披露する本ではなく、生活を良くするための著者の体験を書いたエッセイである。

例えば「本棚」なら、これまでの遍歴を振り返り、通販サイトでいいものがないか探す。ぴったりの既製品が見つからなくて、自分で作ろう!と思い立つ。苦手意識のある木工作業に向けて身の回りから師匠を見つけ、ホームセンターへ赴き、手伝ってもらいながら完成させる。そして完成した本棚をうっとりと眺め、本を詰める……。そんな一連の流れをじっくりと綴るエッセイだ。

あくまで「自分にとって心地よい」だから、著者の選択が読者全員に当てはまるわけじゃない。だからこそ、その過程をゆっくり描いているのがいいなと思った。

 

なにより、人の生活を整えていく姿を見るのは面白い。

着飾った姿だけでなく、駄目だった等身大の姿を書いているのもいい。

より良い生活をしたい、の考え方自体はよくあるけれど「生活改善運動」と言い表すとなんだか楽しい気がする。

分類をライフスタイルにするか、エッセイにするか迷ってしまう。

 

  • タイトル:私の生活改善運動 THIS IS MY LIFE
  • 著者:安達茉莉子
  • 出版社:三輪舎
  • 読んだ日:2023年3月◇
  • 経路:ブックカフェ「蔦屋書店 代官山」にて