とうつきの本棚

本に纏わることの記録。

『うたうおばけ』くどうれいん

やさしい言葉でともだちや周りの人のことを綴ったエッセイ集。

 

くどうれいんさんの周りにはこんなに素敵な人たちがいるのか!と驚く。人の素敵なところを言葉にするのが上手いのだと思う。読んでいてやさしい気持ちになる。いいなあ。

『桃を煮るひと』がとても好きだから手に取った2作目だけど、引き続き読んでよかったと思う。

 

『桃を煮るひと』と『うたうおばけ』だと、全体として好きなのは前者、ピンポイントでとても好きな話があるのは後者。

『桃を煮るひと』は食べ物エッセイなので、違和感があるとしたら一部の食の好みの合わなさくらいで、全体を通して穏やかに読める。

『うたうおばけ』は人に関するエッセイで、とても素敵な人たちが登場する一方、くどうれいんさんが嫌いな人・物・事に対する批判・嘲笑の言葉もちらほら見える。「"友達"という言葉が嫌い」「(笑)を使う人が嫌い」など、普段の生活で聞く分にはなんとも思わないけれど、穏やかで優しい話が多いエッセイの中では、鋭い針のように刺さって痛い。

ぽわぽわ〜と楽しく読むなら『桃を煮るひと』だけど、きらっと輝く人たちを読むなら『うたうおばけ』だな。

 

ことば選びとあたたかみのある文章が好きな方なので、他の作品も読みたい。

 

  • タイトル:うたうおばけ
  • 著者:くどうれいん
  • 出版社:書肆侃侃房
  • 読んだ日:2024年9月▽
  • 経路:図書館で借りて