とうつきの本棚

本に纏わることの記録。

2023-01-01から1年間の記事一覧

『そして、バトンは渡された』瀬尾まいこ

女子高生の優子には、親の離婚や再婚によって母親が二人、父親が三人いる。現在は血の繋がらない"父"・森宮さんと二人暮らしをする彼女は、しかし少しも不幸ではない。少し変わった家庭環境で多くの愛情を受けてきた優子へ、バトンが渡されるまでの物語。 困…

最近の積読と、解消と、再積読

気付けば積る、本の山。

『三千円の使いかた』原田ひ香

様々な世代、立場、家族構成の女性たちのお金の悩みを綴った、明るい雰囲気の連作短編集。 私自身が節約や貯金が好きなので、きっと気に入るだろうと思って読み始めた。結果、大正解だった。 舞台は御厨(みくりや)家という一つの家族だ。 散在しがちな独身OL…

『とかげ』よしもとばなな

よしもとばななの、なんとも言えないさみしさ描いた短編集。 残念ながらイマイチ良さがわからなかった。 なんとも言えないさみしさが描かれていることはわかる。妻の待つあまりに美しく理想的な新居に帰りたくない気持ち、幼き日に味わった絶望のせいでどこ…

『ネットワーク・エフェクト』マーサ・ウェルズ

統制モジュールを壊して、実は自由の身である警備ロボットの”弊機”。惑星調査任務からの帰還中見知らぬ宇宙船から攻撃を受けて攫われた”弊機”は、人間たちを守り抜くことができるのか。『マーダーボット・ダイヤリー』の続編である長編SF作品。 前作に引き続…

奈良県「ミジンコブンコ」【本とカフェ】

奈良県近鉄奈良駅近くのきたまちにあるカフェ「ミジンコブンコ」に行ってきました。 穏やか空間に本が並ぶ、カレーがおいしいお店です。

『エデン』近藤史恵

フランスのプロ自転車チームに所属し、夢のツール・ド・フランスに参加することになった白石誓。しかしチームスポンサーの撤退が噂され、メンバーの心はバラバラになって行く――。『サクリファイス』の続編。 初めて『サクリファイス』を読んだとき衝撃を受け…

『マーダーボット・ダイアリー 上/下』マーサ・ウェルズ

統制モジュールをハッキングした人見知りの人型警備ロボットが、顧客たちの安全を守るために戦うSF作品。 主人公"弊機"のキャラクターがいい! ※"弊機"とは主人公の一人称。弊社などへりくだった言い方の"弊"に、ロボットなので"機"を加えたもの。 契約者の…

本棚開設1周年

このブログを開設してから1年が経ったそう。 そうだっけ?と振り返ったら、たしかに一番最初の記事の投稿が「2022年12月4日」だった。おお、たしかに1年。 tou-book.hatenablog.com 本を読むのが好きだったのに、いつの間にか読まなくなってしまった。もう一…

ブックサンタ2023に参加

子供たちに本を贈るチャリティープロジェクトです。

『52ヘルツのクジラたち』町田そのこ

家族から虐待・搾取を受けてきた女性・貴湖は、とある事件をきっかけに遠く離れた田舎に引っ越す。そこで出会った母親に虐待されている少年との、孤独と愛の物語。 私にしては珍しく、装丁の美しさと"本屋大賞受賞"とのネームバリューだけで選んだ。文庫版を…

『パンとスープとネコ日和』群ようこ

母が経営していた食堂を改築して、パンとスープのお店を始めたアキコ。飼い猫タロとアルバイトのしまちゃんと、おいしいご飯と生い立ちの物語。 同著者の『かもめ食堂』同様に、おいしいご飯屋さんの経営とその周りの人たちのお話だった。料理に使う具材や調…

しがないOLになって、瀬尾まいこが沁みる

今週のお題「最近読んでるもの」

『天国はまだ遠く』瀬尾まいこ

なにもかもうまく行かず、山奥の民宿で服薬自殺を図るも死にそびれた千鶴。民宿の管理人・田村さんの大雑把さや豊かな自然に癒されていくが……。 都会で疲れた人が田舎で癒やされる物語は多い。そのほとんどは、田舎の美しさにただ癒やされて都会に戻るか、田…

奈良県「コンフォートホテル奈良」【本とホテル】

奈良県JR奈良駅近くにある「コンフォートホテル奈良」に宿泊してきました。 一部のコンフォートホテルには「ライブラリーカフェ」なるカフェスペースがあります。本棚にはどんな本があるのか、本は読みやすい環境なのか……体験しました!

『しないことリスト』pha

世の中に溢れる「しなきゃいけないこと」に対して「それはしなくてもいいんじゃない?」と投げかける、いい感じに脱力した本。 いわゆる「しなきゃいけないこと」の99%は「本当は別にしなくてもいいこと」だ。この本は、世間で「しなきゃいけない」とされて…

京都府「TUNE STAY KYOTO」【本とホテル】

京都府京都駅近くにある「TUNE STAY KYOTO」に宿泊してきました。 ホテル内に”京都”に関する書籍を集めた本屋が併設された、サブカルコンテンツを楽しむホテルです。

『今様 京都の値段』柏井壽

京都で買える様々なものを値段ごとに切り分けて、京都で生まれ育った著者の思い出や風習と共に紹介するエッセイ。 紹介されるのは、「長久堂の桜干菓子60円」、「粟餅所澤屋の粟餅450円」など小さくて安価なものも多い。京都には歴史ある街としての敷居の高…

『夜は短し歩けよ乙女』森見登美彦

黒髪の「彼女」に思いを寄せる「先輩」が、なんとかして「彼女」の視界に入りあわよくばお近づきになりたいと奔走する、不思議和風ファンタジー。 頭の中では小難しい言い回しを多用し、斜に構えた臆病者である「先輩」が、ことごとく「彼女」との邂逅に失敗…

『檸檬(乙女の本棚)』梶井基次郎、げみ

梶井基次郎の『檸檬』に、イラストレーターのげみさんが描き下ろしイラストを添えた文学絵本。 イラストが綺麗!輪郭が柔らかくて、光が綺麗な絵だった。 暗鬱とした主人公に引き摺られるように、小説は全体的に暗く湿っぽい。そこに差し込む強烈なイエロー…

『ふしぎな図書館』村上春樹、佐々木マキ

探している本は地下にあると図書館司書に言われた「僕」は、図書館の地下にいた老人に、探していた本と一緒に閉じ込められてしまう。羊男や綺麗な女の子と言葉を交わしながら、何とか家に帰る方法を探す話。 大人向けのナンセンス絵本。正直よくわからなかっ…

銀座一丁目駅「HAPPY SCIENCE GINZA BOOK CAFE」【本とカフェ】

銀座一丁目駅近くの「HAPPY SCIENCE GINZA BOOK CAFE」に行ってきました。新宗教団体が運営するので向き不向きははありそうですが、明るく綺麗なブックカフェです。

『強運の持ち主』瀬尾まいこ

元営業OLの占い師・ルイーズ吉田が、ショッピングセンターの片隅で出会う人たちの悩みを解決していく小説。 ルイーズ自身が占いを信じていないのが良い。前職の営業スキルを活かせる!と求人広告に応募し、実際にその話術でお客さんを引き込んで独立している…

『かもめ食堂』群ようこ

日本人女性のサチエがフィンランドで始めた食堂が舞台に、訳あってフィンランドを訪れたミドリやマサコと話したり、お店を手伝ってもらったり……そうして過ぎる日々を淡々と描いた物語。さらっとして読みやすかった。 大成せずに、ただ生きる姿を描いているの…

『ミトンとふびん』吉本ばなな

静かで優しい、そっと寄り添うさみしさと思い出を描いた作品集。 吉本ばななさんは静かなさみしさを描くのが上手いな、と思う。それも本当に一人ぼっちのさみしさではなく、隣に誰かがいる/いた時にこそ感じるさみしさである。 本作には、大切な人を亡くした…

『いいね!ボタンを押す前に―ジェンダーから見るネット空間とメディア』治部れんげ他

ネット上での炎上や諸問題をジェンダーの視点から分析・考察した本。複数の著者の文章を集めてまとめたもの。 この本ははてなブログで知った。たしかはてなブログトップからアクセスしたので、どこの誰の記事かはもう分からない。ちょうどTwitterで目にする…

『日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ―』森下典子

著者が茶道を通じて出会った物の感じ方や考え方を綴ったエッセイ。 「○○によって考え方が変わった」「××を経験して毎日を大切に生きるようになった」といった体験談自体は世の中に多い。よく目にするエッセイと本作が異なるのは、著者が長年通ったお稽古事に…

『行動経済学 経済は「感情」で動いている』友野典男

行動経済学の誕生から現在の考え方、それを証明する実験などを、おそらく網羅的に記載した本。 古本市で面白そうだと手に取って、気軽な気持ちで読み始めた。しかし、想像の何十倍も詳しく緻密に書かれていた。 私が求めていたのは「行動経済学ってこんな学…

『食堂かたつむり』小川糸

恋人にすべてを持ち去られたショックで、声までも失った倫子。山あいの田舎に戻った彼女は、一日一組限定の食堂を開くことにした。食事と人間模様を描いたおとぎ話。 作中で調理の様子が丁寧に描写されているのが楽しい。著者と主人公が食事を大切に思ってい…

『「どっちでもいい」をやめてみる』引田かおり

著者のこだわりの持ち物や、考え方を紹介する本。 タイトルから私が期待したのは「どっちでもいい」をやめるに至った考え方の変化や、元々の状態から持ち物がどのように変わったか、だった。例えば「これまで食器なんてなんでもいいと思って100均やオマケの…