太宰治の掌編『待つ』に、イラストレーターの今井キラさんが描き下ろしたイラストを添えた文学絵本。 駅前のベンチで何かを待っている女の独白。自分でも何を待っているのか分からずに、それでも毎日ベンチで待ち続ける心境を淡々と語っている。終始ぼんやり…

夏目漱石の『夢十夜』に、イラストレーターのしきみさんが描き下ろしたイラストを添えた文学絵本。 いまいち『夢十夜』とイラストがマッチしていなかった。 表紙の金魚の少女の絵は綺麗だと思う。それから、100年待っていて下さいの病床の女の絵と、蕪村の掛…

梶井基次郎の『檸檬』に、イラストレーターのげみさんが描き下ろしイラストを添えた文学絵本。 イラストが綺麗！輪郭が柔らかくて、光が綺麗な絵だった。 暗鬱とした主人公に引き摺られるように、小説は全体的に暗く湿っぽい。そこに差し込む強烈なイエロー…

紺の布張りに白インクの装丁。絵と文字が入り混じるような本文。ポツポツと紡がれる誌的な言葉。 「美しい絵本」の言葉がぴったり。こんなに美しい絵本、初めて出会った。 ストーリーは単純で、だからこそ静かに読める絵本だと思う。 ひとりぼっちの臆病なキ…

おとぎ話に登場しそうな青い湖面、断崖絶壁にそびえる城、幾何学模様の教会……そんな美しい情景を集めた写真集。 おとぎ話か、映画の世界か。そんな世界観の写真が並ぶ。空想の産物ではなく、すべてこの地球のどこかに存在している場所だから驚きだ。 落ち着…