追い詰められた人たちが起こす、常識外れの薄暗い行動を描いた8つの短編集。
作者・近藤史恵さんの良さを感じられない短編集だった。
近藤史恵さんの一番の良さは、『サクリファイス』シリーズの自転車の描写や、『整体師・合田力』シリーズの整体シーンのような、読者が知らない世界を巧みな筆力で読みやすく描ける説明力だと思う。それぞれが完全に独立した短編集の本作では、話が短すぎてその説明力が活きていない。
あと、他作品における、主人公の日常のすぐ隣に事件・ミステリが潜んでいるような話の設定も好きなのだけど、本作は最初から悪意に満ちている設定も多くて(「SWEET BOYS」「ダークルーム」)、やりすぎでは?という印象も受けた。
他の筆者が書いても同じ話になりそうというか、近藤史恵さんの著作として楽しみにして読んだ期待は裏切られた。
それでも、最初の「マリアージュ」と最後の「北緯六十度の恋」は良かった。「マリアージュ」はまさかそう来ると思わなかった。「北緯六十度の恋」も度重なるひっくり返しに驚いた。どちらも登場人物が一歩道を踏み外した先の物語で、想像できない意外な展開を迎え、ハッピーエンドとはいかずもノーマルエンドで丸く収まったような話。この2話は近藤史恵さん要素を感じられた。
全体的に暗い話が多いので、読み返したいとは思わないかな。
- タイトル:ダークルーム
- 著者:近藤史恵
- 出版社:角川文庫
- 読んだ日:2025年9月$
- 経路:家族から借りて