とうつきの本棚

本に纏わることの記録。

『マンガ 会計の世界史』田中靖浩

15世紀のイタリアで簿記が生まれ、オランダで株式会社が誕生し、イギリスで会計監査が始まり――そんな会計の歴史をマンガで面白おかしく学べるビジネス書。

 

15世紀から21世紀まで、要点に絞ったストーリーとキャッチ―に仕立てられた偉人たちによるマンガは面白い。

が、私の期待していた内容ではなかった。IFRSについて知識を深めたいと思っていたところ、たまたま書店で手に取った本作にIFRSの単語が見えたので購入を決めた。しかし、肝心のIFRSはその見開き2ページ+αしか記載がなく、知りたかった内容はなかった。これは私の事前調査不足だけど……。

 

マンガも面白いが、お調子者として立ち回る偉人達のテンションにやや着いて行けなかった。不正をたくらむ経営者に○○レンジャー的な衣装の会計士が制裁を加えたり、「えっ資金調達の目途がたったんですかっ!!」「はいっ!」「どうするんですか?」「ふふふ…株式会社を作るんです」なんてやり取りがあったり……。

歴史の大まかな流れはしっかり捉えているはずなので、より詳しい本を読んでは折に触れてこのマンガで歴史上での位置や流れを確認すればよいとは思う。思うが、どうしてもこのテンションに着いて行けず、読み返したくないと思ってしまう。

 

<メモ>

  • 15世紀イタリア…フィレンツェとメディチ家と帳簿管理(本支店会計)、『スンマ』に書かれた「簿記」。メディチの反映とルネサンス芸術の反映
  • 16世紀オランダ…商売好きが集まるオランダ。オランダ東インド会社と出資体系の会社(初の株式会社)
  • 19世紀イギリス…蒸気機関車byジョージ・スティーブンソンのための株式会社。大きな固定資産のための減価償却と発生主義会計(⇔現金主義会計)、それに伴う粉飾の発生と会計士業務
  • 19世紀アメリカ…分業体制と標準化、それに伴う原価計算。破綻寸前鉄道会社を買い占めて経営再建するモルガニゼーションと、グループ会社をまとめた連結決算。
  • 20世紀アメリカ…自動車の普及、暗黒の木曜日、ジョー・ケネディによる米国会計基準、インサイダー取引禁止等の整備、IT化による世界市場の発展と各国基準の差異→IFRSへ収束の見込み。
  • 20世紀アメリカ…管理会計(予算会計)、月賦販売、ファイナンス。

……こうして文字だけで見る方がわかりやすいな。やはりこのマンガは私には合わなかったかも。

 

  • タイトル:マンガ会計の世界史
  • 著者:(著)田中靖浩、(シナリオ)星井博文、(作画)飛高翔
  • 出版社:日本BPマーケティング
  • 読んだ日:2024年3月▽
  • 経路:書店で見かけて、フリマアプリで購入