「この人間は八日後の死が相応しいか?」。調査部の死神・千葉と、調査対象の人物を描いた連作短編集。
死神・千葉のキャラクターが魅力的。
調査対象を詳しく調べずに「可」を出す死神も多いらしいが、千葉は傍から対象人物をよくよく観察している。一方でその人物に愛着を抱くわけでもなく、原則的には「可」の判断を下す。
ミュージック(人間界の音楽全般)をこよなく愛し、慣用句が理解できない。
どことなく抜けていて、何となく人間味がある。この千葉の視点で描くからこそ、面白いのだろう。
また、それぞれの話で「そう来るか!」という転換点、結末が訪れるのも面白い。
ゆるやかに繋がりのある連作なことも、短編で読みやすいのも良い。
十数年前……高校時代に一度読んでいるのだが、内容はすっかり忘れていた。新しい気持ちで読むことができ、もう一度楽しめた。年代問わずに面白く読めるということだろう。