とうつきの本棚

本に纏わることの記録。

『無印良品は、仕組みが9割』松井忠三

業績低迷状態だった無印良品を復活させた良品計画会長によるビジネス書。業務の仕組み化=マニュアル化の大切さを説く。


「小さな業務もマニュアルに落とし込み、仕組み化することで仕事を効率的に進められる」との考え方が柱。仕組み化の大切さやマニュアル作成を進める手法を述べたあと、赤字化した無印良品を立て直すために社長として取り組んだ改革の話が続く。

 

「MUJIGRAM」という無印良品の業務を網羅したマニュアルには、店頭マネキンのコーディネートポイントや新規出店候補地の評価方法まで、あらゆる業務が掲載されているらしい。そして、それらのマニュアルを日々更新することも仕組み化されている。

日々の定例業務だけでなく、勘や経験を必要そうな業務にもマニュアルがあることには驚き。大々的なマニュアル作成は完成=施策完了となりそうなところを、継続的な取り組みにしているところも良いなと思う。

 

上記内容を含む、第1章のマニュアルに関する主張にはほぼ同意だった。仕組みがなく担当者の経験や勘に頼ってしまうと、その人が辞めたときスキルの承継ができずイチからやり直しになってしまう、との考えにも。

実際、配置転換で私と入れ替わりになった女性担当者は、事前に丁寧なマニュアルを作ってくれていたためスムーズに業務を引き継げた。しかし、定年間近な男性担当者の業務は、ほぼ"口伝の技"であり理解するまでに時間を要した。あれが突然の退職や配置換えだったら耐えられなかっただろう。多くの業務がマニュアルに落とし込まれ仕組み化されているからこそ、引継ぎはスムーズかつ多くの情報を継承でき、通常時には浮いた時間で改善案を考えたり突発的事象に対応できたりする。マニュアル化、大切。

 

一方で、赤字回復に向けたトップ=社長の動きには納得できかねる部分も多かった。それは私が一般社員側の立場だからだろう。自分が当時の無印良品の社員だったら絶対いやだったろうな…と思ってしまう。

これまでのやり方を悪と断じて新しいやり方を強行する姿勢は、トップとしては必要なんだろうけど道中理解は得られないだろうな。そして、改革の中で苦労した一般社員は多いだろうに、それらの人を顧みずすべて自分の手柄のように本を出す姿勢もううん。やっぱり、自分が当時の無印良品の社員だったらモヤモヤするな。

 

  • タイトル:無印良品は、仕組みが9割
  • 著者:松井忠三
  • 出版社:角川書店
  • 読んだ日:2024年3月
  • 経路:職場の先輩から譲ってもらって
  • その他:職場の年末大掃除で古紙回収に出そうとしていたところを、捨てるならその前に一度読んでみたいです!と言って貰った。