遠い世界に感じる「政治」を自分ごととして捉えるための考え方を学ぶ本。
よかった。よい文章だった。
「政治の世界ではよく”右派”や”左派”というけれど、そもそもなんで右とか左とか言うの?」から始まり、哲学者の考え方と政治の関わりや、大きい政府/小さい政府の基本的概念などを、平易な言葉と文章で優しく語り掛けてくれる。
政治には小難しい印象が強かったけど、さらっと読めた。そして、たしかに政治が私たちの生活の延長にあるのだと、身近に感じられた。
印象的だったのは、第4章の「死者と日常の政治学」で書かれていた「立憲主義とは、生きている人間の過半数がイエスといっても駄目なことがあるという考え方だといいました。では、その「駄目」といっている主語は誰なのか。(p.83)」の回答。そういう考え方があると、考えたことがなかった。
本書を読んで、ガザ地区での紛争激化に伴い、スターバックスやマクドナルドへの不買運動が行われているとSNSで見かけたことを思い出した。正直、もしそれらの企業に関与があったとしても、多少の不買運動では何も変わらないと思っていた。しかし、政治を自分ごととして捉え、自分たちの生活の延長線上に政治があると考えたら、日常生活の選択で自分の意見を表明するのは大切なことだと感じた。極論、情勢が何も変わらなくても、自分ごととして考えて行動に移すこと、それ自体に意味があるのだと思われた。
私が大事にしたい考え方はなんだろうか。どんな世界になってほしいだろうか。日々考えながら生活していく、きっかけになりそうな本。でもまた忘れてしまいそうなので、手元に置いて度々読み返したい。
- タイトル:学びのきほん 自分ごとの政治学
- 著者:中島岳志
- 出版社:NHK出版
- 読んだ日:2024年3月▽
- 経路:BOOKOFFで購入