とうつきの本棚

本に纏わることの記録。

『羊と鋼の森』宮下奈都

高校の体育館で美しいピアノの音と"調律師"という仕事に強く惹かれた外村は、その憧れをもって調律師となる。調律師の奥深さと外村の成長を、静かに澄んだ文章で綴った美しい物語。 外村は初めてピアノの音と出会った時、目の前に広がる森を見る。この風景描…

『世界でいちばん透きとおった物語』杉井光

書店員の藤阪燈真は、ミステリー作家・宮内彰吾の不倫の末に生まれた子だった。一度も会ったことのない父の病死の知らせを聞いた直後、燈真は遺作と思しき小説『世界でいちばん透きとおった物語』の原稿の捜索を依頼される。果たして原稿は存在するのか、病…

『Shelter』近藤史恵

合田接骨院の受付を務める江藤恵は、一人訪れた東京で訳アリの女性・いずみと出会う。詳しい事情はわからないまま怯えた様子の彼女を匿ううちに、思わぬ事態に巻き込まれていく。合田力シリーズ第3弾。 探偵役の整体師・合田力のもとで働く姉妹の姉・恵にス…

『待つ(乙女の本棚)』太宰治、今井キラ

太宰治の掌編『待つ』に、イラストレーターの今井キラさんが描き下ろしたイラストを添えた文学絵本。 駅前のベンチで何かを待っている女の独白。自分でも何を待っているのか分からずに、それでも毎日ベンチで待ち続ける心境を淡々と語っている。終始ぼんやり…

『その扉をたたく音』瀬尾まいこ

音楽で生きたいと思いつつ、なんの展望もなく実家からの仕送りで暮らす29歳無職・宮地。レクリエーションとしてギターを弾きに訪れた老人ホームで、介護士・渡部の吹くサックスに心を打たれる。彼を音楽の道に誘おうと老人ホームを再訪する中で、利用者たち…

『太陽のパスタ、豆のスープ』宮下奈都

結婚式直前に婚約破棄されてしまった明日羽(あすは)は、自由人な叔母・ロッカさんの勧めでドリフターズリスト(やりたいことリスト)を作る。きれいになる、鍋、お神輿、玉の輿――。自分を見つめ直し、本当にやりたいことを探す物語。 数年ぶりに再読。作中…

『世界一わかりやすい! インボイス』永井圭介

税理士YouTuberによる、読みやすくてわかりやすいインボイス制度の解説書。 「インボイスってあれでしょ、フリーランスの人とかが”消費税を払わなきゃいけないから大変”って一時期騒いでたやつでしょ」くらいの認識の人でも、制度の概略を理解できるようにな…