とうつきの本棚

本に纏わることの記録。

『フーテンのマハ』原田マハ

原田マハさんの旅&グルメエッセイ。

非常に軽快なタッチで、青森のリンゴフレンチを食べたとか、岐阜で須恵器を買ったとか、雑多な旅の様子が書かれている。一編一編が程よい文量なので読みやすい。

 

軽快、軽妙、面白おかしく……そんな言葉がぴったり。読んでいて、思わずふふっと笑えてしまう。午前中の仕事で嫌なことがあった昼休み、このエッセイを2~3編読んでいたらどうでもよくなってしまった。そんな軽さがある。良い意味でオバサンっぽい文章。おおらかで、ちょっと雑で、笑い飛ばす感じ。

 

友人の御八屋千鈴さんとの「ぼよグル(正式名称=ぼよよんグルメ)」には憧れる。それほど気心の知れた友人と長く付き合っている点も、テーマを決めつつ決めすぎないぼよよ~んとした旅の感じも…。

どうしても旅行では「あれを見たい」「これを食べたい」を色々盛り込んでしまう質である。もっとおおらか~に、ぼよよ~んと旅するのもいいなと思った。

 

原田マハさん、読みたいと思いつつまだ一作も読めていないと思う。だから、作家になる前は美術関連の仕事に就いていたことも知らなかった。

途中、面白おかしい旅行珍道中から一旦離れて、印象派の画家の生きざまを追いかける旅行をした話もいくつかあった。まさかこのエッセイ中にモネやセザンヌの話が出て来るとは思わなかった。印象派が好きなので、これも嬉しい。

 

BOOK HOTEL神保町で選書頂いたうちの一冊。

実は、軽妙な文体のエッセイには苦手意識があった。綺麗な文章のエッセイは大丈夫。苦手なのは、オジサンオバサンっぽい笑いがある、軽いテンションのエッセイ。だから選書されたとき、正直「ううん……」と思ったのだが、折角選んでいただいたのだからと読んでみたら、これが面白かった。苦手意識も無くなった気がする。エッセイで有名な作家も多いから、これから色々読んでみたいと思った。

  • タイトル:フーテンのマハ
  • 著者名:原田マハ
  • 出版社:集英社
  • 読んだ日:2022年12月
  • 経路:BOOK HOTEL神保町で選書頂いたうちの一冊。