私自身「持ち物は少ない方がいい」と考えるゆるめのミニマリスト。
ミニマリストのライフスタイルやこだわりの持ち物を、本やブログで眺めるのがかなり好きだ。読みながらすっきりした生活に憧れたり、これを取り入れたいな!と考えたりする。だから、この本も楽しめるだろうと期待を持ってページを開いた。……が、残念ながら全く合わなかった。
好きな分野にも関わらず、何故こんなに合わないのか。あまりに気になって2周目に取り掛かった結果、わかった。
それは冒頭にも書いた通り、これが「ミニマリスト」を手段とした「自己啓発本」だからだ。
「ミニマリスト整理術」とのタイトルは、「お片付け本」や「ライフスタイル本」を想起させる。こうすればすっきり暮らせますよ~、物が少ないと暮らしやすいですよ~といった内容だ。
勿論、この本にも書かれている。ミニマリストたちが選んだ買って良かったものや、部屋をすっきり見せるための物の選び方も多く掲載されているのだ。
しかし行きつくところは、「仕事や生活の課題解決」とされている。
しかし、モノを減らし、必要最小限のモノだけで暮らすことは、それらの悩み・ストレスを解消する手助けとなります。シンプルに、お金と時間のゆとりが生まれるからです。そして、仕事や生活の課題解決に素早く対応できるようになります。 【プロローグ もう、片付け術はいらない】
ミニマリストになることで、悩みやストレスが解消する、仕事がはかどる、生活の課題が解決する。……いや、そこまでは書いていないのだが、そういったプラス効果がある!と謳っている。
自己啓発本によくある「問題解決したいなら”早起き”しなさい」「”傾聴”が人生成功のコツ」といった”早起き”や”傾聴”が”ミニマリスト”になった本だ。
“ミニマリスト”は単なるライフスタイルの一つであり、それによって人生がどうこうなる、との考え方は、私には合わない。匿名掲示板のチラ裏で「トイレ掃除したら宝くじが当たった!」だの「持ち物を整理したら恋人ができた!」だのといった投稿を見るのは面白い。ただ、本として「ミニマリストになると人生が上手く行きます!」と宣言されるのは違うと感じるのだ。
私がミニマリスト関連図書に求めているのは、すっきりした部屋を見たり、持ち物を選ぶ著者なりの基準を読んだり、自分の生活に取り入れられそうな生活の知恵を知ったりすることだ。
物を減らして暮らしやすくなる、まではいい。それはそうだ。面倒な手間があちこちで減るから、過ごしやすくなる。実感している。
だが、物を減らしたことで人生が好転する!空いた時間で自己投資して仕事も上手くいくし、効率的にお金を使えるからお金が貯まる!!……そんな内容は求めていない。そういった意味で、「自己啓発本」チックなこの本は、not for me であった。
念のため。持ち物の減らし方や部屋をすっきり見せる条件など、いいことも書いてある。納得できる点も多い。「自己啓発本」的な、過剰な前向きさと溌溂さ、成功や名声への執着が気にならない人、むしろそう言った内容を求めている人にはおすすめである。
まったりライフスタイル本を求めている人にはおすすめしない。