とうつきの本棚

本に纏わることの記録。

『月曜日の抹茶カフェ』青山美智子

川沿いにこじんまりと佇むマーブル・カフェ。定休の月曜日に1日だけオープンした「抹茶カフェ」から始まった、東京と京都をぐるりとつながげる心あたたかな短編集。『木曜日にはココアを』の続編。

 

『木曜日にはココアを』と同じく、短い文章の中に心温まる優しさや、前を向いて一歩を踏み出す勇気を感じる。やさしくて良い。読むのに疲れない、読んで悲しい気持ちにならない作品は朝の通勤時間にもぴったり。気軽に読めるのも良い。

登場人物がリレーのようにつながっていく構成も前回同様でわくわくした。次はこの人が主人公かな…?と思わず考えてしまったり。『木曜日にはココアを』に登場した人物が、視点を変えて再登場したのも楽しかった。

一応「続編」だが、順番を気にして読まなくてもいい気楽な感じも良い。続編のこちらの話から読んでも、違和感なく楽しめるし面白いと思う。

 

キャラクターとしては卯月と皐月に登場する光都(みつ)が好きかな。友人との適度な良い距離感と、家族との近くて遠すぎる距離感。主人公がリレー形式で変わる面白さが一番出ていた気がする。

読んだ順番の影響かもしれないが、『木曜日にはココアを』の方が印象深かった。あちらの方が、小さな話が大きな輪になってつながる驚きと面白さが強かったと思う。今作は全体のつながりより、一つ一つの話がじっくり書かれていた印象。カフェとマスターを中心につながる輪っかがこの話の醍醐味だと思うので、もっと繋がりを感じられたらより楽しかったかな。

 

  • タイトル:月曜日の抹茶カフェ
  • 著者:青山美智子
  • 出版社:宝島社
  • 読んだ日:2024年1月▽
  • 経路:職場の人から借りて

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