とうつきの本棚

本に纏わることの記録。

『現代アートの本当の見方 「見ること」が武器になる』フィルムアート社

現代アートをどう見るか?を主題として、そもそもの芸術作品の見方(画材、画法、テーマ……)や現代アートに関する対談、種類ごとの現代アートへの関わり方なんかを雑多にまとめた本。

数ある芸術作品の中でも、現代アートは「どう見たらいいのかわからない」ものの筆頭だと思う。まず、これって芸術なの?という疑問から始まってしまう。

冒頭、見取り稽古を例に挙げながら「見て学ぶこと」の大切さに触れている。

見る側の視線にしっかりとした課題意識が含まれていなければ、発見はできず、学びにもつながらないのです。
そうした前提を踏まえ、本書は、現代アートという表現の領域に対して、「何を、どう見るか」という提案を行います。

現代アートの本当の見方 P.9

特に面白かったのは、スタイル別「現代アート」の見方の頁。文量としては短いが、インスタレーションパフォーマンス・アートなど、現代アートってそんなに種類があったんだ、との発見にも繋がった。

技術を見るの章もが面白かった。特に松本次郎さんの文章が好き。絵の具やタッチなど技法的な内容は面白く、文体もシンプルで良かった。

 

全体的に「現代アートを見る」より「現代アートを見るための下地を整える」ような本。これで現代アートの見方がわかった!……とはならない。そこはやや期待外れ。色んな人が書いているため、章によって文章の好き嫌いも出てくる。

技法や表現方法を知ることができたのは良かった。

 

  • タイトル:現代アートの本当の見方 「見ること」が武器になる
  • 著者:-
  • 出版社:フィルムアート社
  • 読んだ日:2023年3月◇
  • 経路:カフェ「梟書茶房」の書架にて