探している本は地下にあると図書館司書に言われた「僕」は、図書館の地下にいた老人に、探していた本と一緒に閉じ込められてしまう。羊男や綺麗な女の子と言葉を交わしながら、何とか家に帰る方法を探す話。
大人向けのナンセンス絵本。正直よくわからなかった。
いつも本の感想を書くときは、周りの意見に感化されないよう書籍情報くらいしか調べないことにしているのだが、これはこの本の成り立ちや考察を調べた。どうも、村上春樹の作品に何度か登場する「羊男」が登場する作品として有名らしい。羊男の存在を知っていることが、この作品を楽しむための基礎知識なのだろうか。
挿絵がたくさんで絵本のようだが、繰り返すが内容はよくわからない。少年はなんだかよくわからないままに捕らえられ、よくわからないままに脱走を企て、よくわからないままに仲間を残して一人脱走する。心配を掛けるから、と心配していた母はその後わりとすぐ死ぬ。なんだったの?
子供が長く不在にしたのに何も聞かなかった母は、おそらくある程度事情を知っていて、また少年が脱走できるように何らかの形で手を貸したのかな、とは思う。だけど、だからどうした、という印象。無理矢理解釈するなら「流されるまま生きるな」「周りの言いつけを守るだけでは生きていけない」とかだろうか。
主人公は「僕」なんだけど、「僕」がもっとも物語の蚊帳の外にいた気がする。
昔から村上春樹の文章は好きじゃなかった。今回たまたま出会って、短くて読みやすそうだったからと手に取ったけど、ますます苦手意識が募るばかりだった。本当になんだったんだ?
唯一「僕」が探していた本が”オスマントルコ帝国の税金のあつめ方について”だったのは良かった。ここ以外でそんな文字列を見ることはないだろうと面白かった。
- タイトル:ふしぎな図書館
- 著者:村上春樹、佐々木マキ
- 出版社:講談社
- 読んだ日:2023年9月◇
- 経路:ホテル「TUNE STAY KYOTO」にて
- その他:上記ホテルは京都に関わる本を集めた本屋がある。この本は”村上春樹の出身地が京都”から選書されたと思われる。